研究紹介
Research
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補聴器

各種専門家チームによる補聴器診療

日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎えており、加齢性難聴をはじめとする聴覚障害をもつ患者さんが増加し続けております。現在治療介入が必要な難聴者は約900万人とされておりますが、2025年には高齢化率が30%を越えると予想され、2030年には治療介入が必要な難聴者は1400人を越すと予測されています。また、難聴は認知症における予防可能な最大のリスク因子と報告されており、その経済的影響からも、難聴者への治療介入は社会的注目を集めるとともに、その必要性が高まっております。

補聴器による聴覚の補充は、難聴者への治療介入の主流となっております。ただし、単に補聴器を購入し装用するだけでは、適切な効果を得ることができません。聴力にあわない不適切な器種を選択されていたり、十分に音が入っていない不適切な調整をされていたりなど、不適切なフィッティングを施行されている補聴器を装用しても、十分な効果を得ることができません。補聴器を最大限有効活用するためには、「適切な診断と説明」と「適切な器種選択」をしたうえで補聴器の装用を開始し、更に装用開始後も「適切な補聴器調整」と「検査による適切な評価」を繰り返し行っていく必要があります。そのために、当センターでは耳鼻咽喉科医だけでなく、補聴器の調整を行う言語聴覚士、各種聴覚検査を行う検査技師、そして補聴器の装用指導などを行う補聴器販売店の認定補聴器技能者、の全員で連携し診療を行います。また、当センターでは純音聴力検査や語音聴力検査など広く行われている一般的な聴覚検査だけでなく、雑音下の聞き取りの検査や、脳波を利用した聴覚検査であるABR(聴性脳幹反応検査)やASSR(聴性定常反応検査)、蝸電図検査などの特殊な検査まで、様々な検査が施行可能となっております。そのような検査も駆使しつつ、補聴器を用いることで難聴による生活への支障を改善させるために、「患者さんが持っている聞こえの力を最大限に引き出すこと」を目指し、補聴器診療を行っております。